営業リストの作り方。無料・有料の集め方と、リストが枯渇したときの対処

営業リストは、「誰に売るか」と「どう連絡するか」を先に決めてから作ります。会社名と所在地だけなら、国税庁の法人番号公表サイトや経済産業省のgBizINFOで無料で集められます。電話番号や担当者名まで要るなら、企業サイトや名刺から集めるか、リスト販売会社やツールで買います。
リストが枯渇したら、過去の接点の掘り起こし、条件の見直し、毎月生まれる新設法人(2025年は全国で月平均約13,000社)を新しい母集団に加える、の順で考えます。
営業リストとは。入れておきたい項目
営業リストとは、営業をかける相手の会社や担当者をまとめた一覧です。電話・DM・メール・訪問の宛先になり、誰にいつ連絡したかを記録する台帳にもなります。
項目は「使い道」から逆算して決める
DMなら住所、電話なら電話番号、メールなら担当者のアドレスが要ります。項目を増やすほど集める手間も増えます。
| 分類 | 項目の例 | 使い道 |
|---|---|---|
| 会社の基本 | 会社名、法人番号、所在地・郵便番号 | 宛先、重複の確認 |
| 連絡先 | 代表電話番号、Webサイト、問い合わせフォーム | 電話・Webからの接触 |
| 絞り込み | 業種、従業員数、資本金、設立年月日 | 対象の選別、優先順位づけ |
| 担当者 | 部署・役職・氏名、メールアドレス | 個別の提案、メール |
| 管理 | 取得元・取得日、ステータス、最終接触日、次の予定 | 進み具合と出どころの記録 |
- 会社名・法人番号
- 所在地・郵便番号
- 代表電話番号・Webサイト
- 業種・従業員数・設立年月日
- 担当者の部署・役職・氏名
- メールアドレス
- 取得元と取得日
- ステータスと最終接触日
- 次の連絡予定
見落としやすいのが「管理」の列です。法人番号は法人ごとに1つ指定される番号なので、社名の書き方が違っても同じ会社だと分かります。取得元と取得日を残せば、情報の古さが分かります。
営業リストの作り方。6つのステップ
作り方の流れは、どの集め方でもおおむね同じです。
- 売る相手(業種・エリア・規模)を決める
- 連絡手段に合わせて項目を決める
- 集め方を選ぶ(次の章)
- 「株式会社」と「(株)」などの書き方をそろえ、重複を消す
- 連絡した結果をステータスとして残す
- 移転・社名変更・閉鎖を反映し、新しい会社を足す
- STEP1売る相手を決める既存顧客の業種・エリア・規模から対象の条件を決める
- STEP2項目を決めるDM・電話・メールのどれを使うかで必要な項目を選ぶ
- STEP3集め方を選ぶ自分で集める・買う・ツールを使うを手間と費用で選ぶ
- STEP4集めて整える書き方をそろえ、法人番号などで重複を消す
- STEP5使って記録する連絡した結果をステータスとして残す
- STEP6定期的に見直す移転・社名変更・閉鎖を反映し、新しい会社を足す
売る相手を決めずに集めると、対象外の会社が多く混ざります。受注した会社の業種や規模を並べると、条件を決める手がかりになります。
営業リストの集め方。自分で集める・買う・ツールを使う
自分で集める
自分で集める方法は、主に次の6つです。
- 検索エンジン・企業のWebサイト:会社概要のページで所在地や電話番号を確かめます。1社ずつなので時間がかかります。
- 地図サービス:店舗を持つ業種を地域ごとに探すのに向いています。利用規約に注意が要ります(後述)。
- 業界団体の会員一覧:団体のサイトに会員企業が載っていれば、業種を絞った一覧になります。利用条件があれば従います。
- 展示会・セミナーの名刺:自社の分野に関心がある相手とつながれます。名刺の情報は個人情報です(後述)。
- 国税庁の法人番号公表サイト:法人の「基本3情報」(商号、所在地、法人番号)を公表しています。前月末時点の全件データと、日別の差分データをCSVかXMLでダウンロードできます。電話番号や業種はありません。
- gBizINFO:500万社超の法人番号・法人名・本社所在地に、補助金や政府調達などの情報を紐づけて公開しています。すべての機能が無料で、CSVのダウンロードもできます(経済産業省、2026年4月更新のページ)。
リスト販売会社から買う
手間を省くなら、リストを買う方法があります。項目や料金は提供元ごとに違います。たとえばSalesNow Liteは1件50円(税抜)で100件から買え、代表者氏名や代表電話番号、業界、設立年月日などの項目を含みます(公式サイト、2026年10月時点)。
買う前に、更新の頻度、必要な項目の有無、転売や第三者提供の禁止といった利用規約を確かめます。個人の情報を含むなら、個人情報保護法上の確認も要ります(後述)。
ツールを使う
企業データベース型の営業リストツールでは、業種や規模、地域などの条件で会社を抽出できます。料金体系は提供元ごとに違います。管理には表計算ソフトのほか、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)も使われます。
| 集め方 | 主に分かること | 費用 | 手間・注意 |
|---|---|---|---|
| 検索・企業サイト | 所在地、電話番号、問い合わせ窓口 | 無料 | 1社ずつ調べる |
| 地図サービス | 店舗名、住所、電話番号 | 無料 | 規約でコピーや大量取得を禁じる例がある |
| 業界団体の会員一覧 | 会員企業名、所在地など | 無料 | 載っている範囲と利用条件は団体による |
| 展示会・セミナーの名刺 | 担当者の氏名、部署、連絡先 | 出展・参加の費用 | 入力の手間、個人情報の扱い |
| 法人番号公表サイト | 会社名、所在地、法人番号 | 無料 | 電話番号・業種はない |
| gBizINFO | 上記に加え、補助金・調達などの情報 | 無料 | 補助金などの情報は該当する会社だけ |
| リスト販売会社 | 電話番号や業種を含むものもある | 有料(例:1件50円・税抜) | 利用規約と個人情報の確認 |
| 営業リストツール | 条件で抽出した企業の情報 | 有料(提供元による) | 契約内容の確認 |
無料の方法は集めて整える時間がかかり、有料の方法はその時間をお金で買う形です。
リストの管理と、枯渇したときの対処
重複・更新・ステータスを決めておく
リストは作った日から古くなります。次の3つを決めておきます。
- 重複:法人番号を目印にし、同じ会社に二重に連絡しないようにします。
- 更新:移転や社名変更、閉鎖を反映します。法人番号公表サイトの差分データには、商号の変更なども日別に載ります。
- ステータス:「未接触」「商談中」「失注」「連絡不要」などの段階を決めます。断られた相手やメールの受信拒否を伝えてきた相手は「連絡不要」に分けます。
対処1:過去に接点のあった会社を掘り起こす
失注した会社、検討が止まった会社、名刺交換だけで終わった会社が残っていることがあります。時間がたてば、担当者や予算が変わっている場合もあります。新しい事例の案内などをきっかけに連絡し直します。「連絡不要」の相手は除きます。
対処2:条件を見直す
条件が狭すぎると、母集団そのものが小さくなります。近い業種や隣のエリアまで広げられないかを考えます。電話でつながらない会社にDMで届けるなど、手法を変える方法もあります。手法ごとの違いはBtoBの新規開拓の方法で比べています。
対処3:新設法人を新しい母集団に加える
既存の会社のリストは、当たるほど未接触の会社が減ります。一方、新しく設立される会社は毎月生まれます。東京商工リサーチが自社の企業データベースから集計した調査(2026年5月12日公表)の数字は次のとおりです。
- 2025年の全国の新設法人:157,011社(前年比1.9%増)
- 12で割った月平均:約13,000社(実際の数は月によって変わります)
新設法人は差分データから毎日拾えるので、リストに新しい会社を足し続けられます。項目は会社名・所在地・法人番号が中心で、最初の接点にはDMが合います。営業の進め方は新設法人への営業にまとめています。
自社の対象エリアや業種に絞ると月に何社になるかは、商材によって変わります。
先駆けくんのリストとDM
お断り先駆けくんも同封DMを提供しています。向かないケースも含めて書いています。
先駆けくんの新設法人リストは毎日更新で、項目は会社名・所在地・法人番号です。サービス上で閲覧でき、CSVでも出力でき、エリア・法人格・業種で絞り込めます。リストだけを使うリストプランのほか、複数社のチラシを1つの封筒にまとめて毎週発送する同封DMのプランもあります。料金は月額30,000円〜(税別)で、詳しくは料金プランにあります。
向かないのは、電話番号や担当者名が最初から必要な場合や、設立から年数のたった会社を主に狙う場合です。そうした場合は、企業データベースや有料リストのほうが合います。
集めるとき・使うときの法律とルール
主なルールを挙げます。個別の判断は、弁護士や個人情報保護委員会の相談窓口などに確認してください。
個人情報保護法:取得したら利用目的を通知・公表する
会社名や所在地は法人の情報ですが、担当者の氏名やメールアドレスは個人情報にあたります。個人情報を取得したら、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに本人へ通知するか公表します(個人情報保護法 第21条第1項)。プライバシーポリシーで営業の案内に使うことを公表しておく方法があります。
名刺について、個人情報保護委員会のQ&A(Q4-16、2021年9月更新)は、従業者であることを明らかにして交換した場合、自社の広告宣伝の冊子やメールを送ることは「取得の状況からみて利用目的が明らか」な場合(第21条第4項第4号)にあたるとしています。
名簿を買うこと自体は禁止されていません。ただし、適正取得(第20条第1項)と、第三者から個人データを受け取るときの確認・記録(第30条)の義務がかかります。名簿業者は原則としてオプトアウトの届出(第27条第2項)が必要なため、委員会のサイトで届出の有無を確かめるよう示されています(同Q&A Q4-2)。
サイトの利用規約とスクレイピング
Webサイトから集めるときは、利用規約を確かめます。たとえば「Google マップ エンドユーザー向けの追加利用規約」(2025年6月4日更新)は、許可された場合などを除くコンテンツのコピー、大量ダウンロードや一括フィードの作成、Googleマップに代わるサービスや似たサービスで使うためのデータベースの作成を禁止しています。プログラムで自動的に集める(スクレイピング)前には、そのサイトが自動収集を認めているかを確認します。
データベースの著作権
著作権法では、情報の選択や体系的な構成に創作性があるデータベースは、著作物として保護されます(第12条の2)。会社名や住所といったデータそのものは著作物にあたらないと解されています。ただ、創作性が認められなかったデータベースでも、複製して販売した行為が不法行為とされた裁判例があります(末吉亙「データベースと著作権」、情報管理、2012年)。他社の名簿をまとめて写して使うのは避けます。
メールで営業するなら特定電子メール法
広告や宣伝のメールは、原則として、あらかじめ同意した相手にしか送れません(特定電子メール法 第3条)。例外には、名刺などの書面でアドレスを知らされた相手、取引関係にある相手、インターネットでアドレスを公表している相手(個人の場合は営業を営む個人に限る)などがあります。ただし、アドレスと一緒に広告メールを断る旨が公表されていれば送れません。送るときは、送信者の氏名や名称、受信拒否の通知先などの表示が必要です(第4条。総務省のパンフレット、2018年7月)。
よくある質問
営業リストは無料で作れますか?
作れます。法人番号公表サイトやgBizINFOなら、会社名・所在地・法人番号などを無料でダウンロードできます。電話番号や担当者名は、企業サイトで調べるか有料のリストで補います。
Googleマップから営業リストを作ってもよいですか?
Googleマップの追加利用規約(2025年6月4日更新)はコンテンツのコピーや大量ダウンロードなどを禁止しており、ツールでの一括取得は規約に反するおそれがあります。地図は会社を見つける入口にとどめ、所在地や電話番号は各社のWebサイトで確かめる方法もあります。
名刺交換した相手に営業メールを送ってもよいですか?
従業者であることを明らかにして交換した名刺なら、自社の広告宣伝メールを送ることは利用目的が明らかな場合にあたるとされています(個人情報保護委員会 Q&A Q4-16)。特定電子メール法でも、名刺などの書面でアドレスを知らされた相手は同意の例外です。ただし送信者情報などの表示は必要で、拒否の連絡があればそれ以降は送れません。
リストが枯渇したら、何から始めればよいですか?
手元の情報で始められるのは、過去に接点のあった会社の掘り起こしです。次に業種・エリアなどの条件を広げられないかを考え、それでも足りなければ新設法人(2025年は全国で月平均約13,000社)を母集団に加えます。
まとめ
営業リストは、売る相手と連絡手段を決め、使い道から項目を逆算して作ります。自分で集めるか、リスト販売会社やツールで買うかで、費用と手間が入れ替わります。担当者の情報やメールでの営業には、個人情報保護法や特定電子メール法、サイトの利用規約がかかります。リストは法人番号で重複をなくし、ステータスを記録しながら更新します。枯渇したら、掘り起こし、条件の見直し、新設法人という新しい母集団の順に考えます。
参考資料
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この記事は、新設法人向けDMサービス「先駆けくん」を運営する東京企画合同会社が書いています。
