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新設法人への営業

新設法人への営業とは。アプローチ方法の比較と、成果を出すタイミング

公開日:執筆:東京企画合同会社(先駆けくん運営)
新設法人への営業とは。アプローチ方法の比較と、成果を出すタイミング

新設法人への営業で成果を分けるのは、設立から数か月のタイミングです。設立直後の会社は、顧問税理士、銀行口座、社会保険、会計ソフト、通信、ホームページなどを短い期間で決めていきます。取引先がまだ決まっていないこの時期に、相手が「いま決めること」に合わせた提案を届けると、話を聞いてもらえる余地が生まれます。

一方で、新設法人は電話番号が公表されておらず、所在地がバーチャルオフィスのこともあります。電話や訪問だけに頼らず、登記上の所在地に届くDMを起点にして、電話・訪問・紹介を組み合わせる方法が中心になります。

新設法人を営業先に選ぶ理由

毎年15万社をこえる会社が生まれている

東京商工リサーチの調査(2026年5月公表)では、2025年の全国の新設法人は157,011社でした。前年より1.9%増え、2008年の統計開始以来の最多です。地域で見ると、帝国データバンクの調査(2026年5月公表)では東京23区の新設法人が44,975社でした。区別では港区(7,472社)、渋谷区(5,795社)、中央区(4,968社)が上位に並びます。

設立直後は「決めること」が集中する

会社を作ると、税務署や年金事務所などへの届出が続きます。届出には期限があり、その準備の中で専門家やサービスを選ぶことになります。主な届出と期限は次のとおりです。

届出 提出期限(原則) 提出先
法人設立届出書 設立の日以後2か月以内 税務署
青色申告の承認申請書(必要に応じて) 設立の日以後3か月を経過した日と、最初の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで 税務署
給与支払事務所等の開設届出書 給与支払事務所等を設けてから1か月以内 税務署
健康保険・厚生年金保険 新規適用届 事実発生から5日以内 日本年金機構
労働保険 保険関係成立届(従業員を雇ったとき) 保険関係が成立した日から10日以内 労働基準監督署
雇用保険適用事業所設置届(従業員を雇ったとき) 設置した日の翌日から10日以内 ハローワーク
新設法人が設立直後に決めること
1
顧問税理士法人設立届出書は設立から2か月以内。青色申告の申請にも期限がある
2
銀行口座売上の入金や経費の支払いに使う、法人名義の口座を用意する
3
社会保険新規適用届は事実発生から5日以内。従業員を雇えば労働保険も
4
会計ソフト記帳や請求書の出し方を決める。インボイスの登録も検討する
5
通信・オフィス電話や回線、複合機、事務所やバーチャルオフィスを整える
6
ホームページ会社の情報を伝えるサイトやドメイン、メールを用意する
出典:国税庁、日本年金機構、厚生労働省の公開情報(2026年10月時点)先駆けくん

期限は国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)と「暮らしの税情報(令和8年度版)」、日本年金機構(2026年7月更新)、厚生労働省 兵庫労働局のページで確かめたものです。日本年金機構によると、法人の事業所は事業主だけの場合も含めて健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。従業員がいない会社でも、社会保険の手続きは発生します。個別の判断は、税務署や年金事務所、専門家に確認してください。

既存の会社への提案との違い

すでに取引先がある会社への提案は、今の取引先からの切り替えをお願いする形になります。新設法人ではまだ席が空いているため、話の入り方が変わります。

  • 既存の会社には、切り替える理由をこちらから示す必要がある
  • 新設法人には、まだ決まっていない取引先として検討してもらえる
  • 新設法人には、届出の期限と結びつけて案内できる
  • その反面、新設法人は実績や事業規模の情報が少なく、見込みを判断しにくい
既存の会社への提案と新設法人への提案
既存の会社への提案
  • 今の取引先からの切り替えを頼む
  • 切り替える理由を示す必要がある
  • 窓口の担当者を探すところから
  • 不満がないと検討されにくい
新設法人への提案
  • まだ決まっていない席に提案する
  • 届出の期限と結びつけて案内できる
  • 公表情報の所在地あてに送れる
  • 実績や規模の情報は少ない
先駆けくん

新設法人への営業に合う商材

合うのは、設立直後の会社が「最初にそろえるもの」です。

分野 商材の例 新設法人の状況
税務・会計 税理士の顧問契約、会計ソフト 設立届や青色申告の申請に期限がある
労務 社会保険労務士、給与計算ソフト 社会保険の新規適用届は事実発生から5日以内
金融 法人口座、法人カード、融資の相談 事業のお金の出入りを分けて管理する
通信・オフィス 回線、電話、複合機、オフィス 仕事をする環境を整える
Web ホームページ制作、ドメイン、メール 会社の情報を外に出す手段を用意する
保険・人材 法人保険、採用支援 事業や人員の拡大に備える

反対に、従業員が多い会社を前提にした商材や大型のシステムは、設立直後の会社では使う場面がまだないこともあります。その場合は、設立から時間がたった会社を狙うか、会社が大きくなる時期を待って案内します。

相手の顔ぶれも幅広くなっています。帝国データバンクの同じ調査では、2025年に全国で新設された法人の代表者の平均年齢は48.9歳(速報値)で、60歳以上が20.5%を占めました。若い起業家だけを想定した言葉づかいやデザインにしないことも大切です。

アプローチ方法の比較

主な方法は、電話・DM・訪問・メール・Web広告・紹介/提携の6つです。新設法人ならではの壁も含めて比べます。

方法 強み 新設法人ならではの壁
電話 その場で反応が分かる 法人番号公表サイトに電話番号は載っていない。調べても見つからないことがある
DM(郵送) 登記上の所在地あてに送れる 開封されないこともある。所在地がバーチャルオフィスだと、受け取り方は会社ごとに違う
訪問 顔を合わせて話せる 所在地がバーチャルオフィスや自宅だと会えない。移動の時間もかかる
メール 1通あたりの費用が小さい アドレスが公開されていないことが多い。特定電子メール法のルールがある
Web広告 自分で探している人に届く まだ探していない会社には届かない。新設法人だけに絞りにくい
紹介・提携 信頼のある相手から紹介される 司法書士や税理士など、提携先との関係づくりに時間がかかる

連絡先が分からない、という壁

国税庁の法人番号公表サイトで公表される基本の情報は、商号、所在地、法人番号の3つです。電話番号やメールアドレスは公表されていません。設立直後はホームページがない会社もあり、電話やメールの連絡先を調べられないことがあります。そのため、所在地さえ分かれば送れるDMが、最初の接点として使われます。

所在地で会えるとは限らない、という壁

新設法人の中には、バーチャルオフィスやシェアオフィス、自宅の住所で登記する会社もあります。訪問しても担当者に会えなかったり、自宅への訪問が迷惑に受け取られたりすることもあります。訪問は、DMや電話で関心を示した会社に絞るほうが無駄がありません。

方法は組み合わせて使う

1つの方法だけで成果を出すのは簡単ではありません。DMで存在を知ってもらい、連絡先が分かる会社には電話をかけ、関心を示した会社とは訪問やオンラインで商談する。この順番で組み合わせると、それぞれの壁を補えます。DMの費用を抑える方法には、複数社のチラシを1つの封筒で送る同封DMもあります。ほかの手法も含めて広く比べたい場合は、BtoBの新規開拓の方法もご覧ください。

成果を出すタイミングとポイント

声をかけるのは設立直後から数か月

届出の期限を見ると、税務や社会保険の手続きは設立から2〜3か月のうちに集中します。税理士や社会保険労務士を探す会社にとっては、この期間が検討の時期です。採用や保険のように、事業が動き出してから考えるものは、数か月後にもう一度案内する余地があります。

新設法人の情報は、国税庁の法人番号公表サイトで調べられます。国税庁のパンフレット(2023年5月)によると、公表情報は原則として平日の11時と16時に更新され、新たに法人番号が指定された会社も順次載ります。毎日の新しい会社を追いかける手間を減らしたい場合は、新設法人リストを使う方法もあります。

設立直後の相手に合わせて伝える

設立直後の代表者は、届出や口座の開設などの手続きを並行して進めています。チラシや電話では、次のように相手の状況に寄せた伝え方をします。

  • 期限と結びつける:「設立届は設立から2か月以内です」のように、いま必要な理由を示す
  • 手間を減らす:手続きの代行や、乗り換えの手間がないことを伝える
  • 最初の1年の費用を示す:月額だけでなく、初年度にかかる総額を分かるようにする

1回で終わらせず、接点を重ねる

DMを1回送って終わりにすると、届いた時期に関心がなかった会社とはそれきりになります。DMを起点にした流れは、たとえば次のとおりです。

  1. 新たに公表された会社をリストにする
  2. 設立直後に合わせたチラシをDMで送る
  3. 連絡先が分かる会社に、DMが届いた頃に電話する
  4. 問い合わせや電話で関心を示した会社と商談する
  5. すぐに決まらない会社にも、時期を変えて案内を送る
DMからフォロー電話、商談までの流れ
  1. STEP1
    リストを用意する法人番号公表サイトなどで、新たに公表された会社を抽出する
  2. STEP2
    DMを送る設立直後に決めることに合わせたチラシを、所在地あてに届ける
  3. STEP3
    フォローの電話連絡先が分かる会社に、DMが届いた頃に電話をかける
  4. STEP4
    商談問い合わせや電話で関心を示した会社と打ち合わせる
  5. STEP5
    再案内すぐに決まらない会社にも、時期を変えて案内を送る
先駆けくん

フォローには、どの会社にいつ何を送ったかの記録が欠かせません。送り先のリストを残しておけば、電話や訪問の対象を選べます。

先駆けくんの事例

お断り先駆けくんも同封DMを提供しています。向かないケースも含めて書いています。

先駆けくんは、東京23区・全国で新たに設立された会社に、複数社のチラシを1つの封筒にまとめて毎週発送する同封DMです。送った会社のリストはサービス上で確認でき、電話や訪問のフォローに使えます。

利用例では、新規顧客の獲得に悩んでいた税理士事務所が、東京23区へのDMプランで商談化率0.42%・受注率20%でした。同じく新規顧客の獲得に悩んでいたバックオフィスSaaSの会社は、全国へのDMプランで商談化率0.35%・受注率16%でした。いずれも実際の事例の実績値で、成果を保証するものではありません。

向かないケースもあります。同封できるのはA4サイズまでの広告チラシ1枚で、宛名を入れた案内状のような信書は入れられません。他社のチラシと一緒に届くため、自社だけの封筒で届けたい場合や、設立から時間がたった会社に送りたい場合は、ほかの方法が合います。

新設法人に営業するときの注意点

断られた相手に繰り返し連絡しない

設立直後の会社には、さまざまな営業の連絡が届きます。断られた会社や「連絡は不要」と言われた会社は記録に残し、以後は連絡しないようにします。電話は用件を短く伝え、相手の時間を取りすぎないことも大切です。

メールは特定電子メール法を確認する

広告や宣伝のメールは、特定電子メール法により、原則として同意を得た相手にしか送れません(第3条)。例外として、インターネットでメールアドレスを公表している団体などには同意なしで送れる場合があります。ただし、広告メールを断る旨もあわせて公表されているときは送れません。受信拒否の連絡を受けたら、その後は送れません。送信者の名称や受信拒否の連絡先などの表示も必要です(第4条)。総務省のパンフレット(2018年7月)などで確認し、個別の判断は専門家に相談してください。

情報の出どころを説明できるようにする

「どこで会社を知ったのか」と聞かれることがあります。法人番号公表サイトの公表情報をもとにしていることなど、出どころをすぐに説明できるようにしておくと、相手の不信感を招きません。チラシや電話で、公的機関からの案内と誤解されるような表現を使わないことも大切です。

よくある質問

新設法人の情報はどこで調べられますか?

国税庁の法人番号公表サイトで、新たに法人番号が指定された会社の商号・所在地・法人番号を調べられます。電話番号は載っていません。

設立からどれくらいで営業すればよいですか?

商材によります。税理士や社会保険まわりの商材は、届出の期限が設立から2〜3か月のうちに集中するため、設立直後が中心です。採用や保険のように事業が動き出してから検討するものは、数か月後にもう一度案内することも考えます。

合同会社やバーチャルオフィスの会社にも送るべきですか?

商材と予算によります。東京商工リサーチの調査では、2025年の新設法人のうち28.6%が合同会社でした。訪問を前提にするならバーチャルオフィスの住所を除く、株式会社に絞るといった選び方もあります。先駆けくんでも「合同会社は除く」「バーチャルオフィスの住所は除く」などを指定でき、絞り込んだ分だけ送付数は減ります。

電話番号が分からない会社にはどう営業しますか?

DMで問い合わせを待つか、会社名でホームページを探して連絡先を調べます。設立直後はホームページがない会社もあるため、チラシには問い合わせ先の電話番号やWebフォームのQRコードを載せ、相手から連絡できる道を用意しておきます。

まとめ

  • 新設法人は、設立から数か月のあいだに税理士・口座・社会保険などを決めていきます。届出の期限は、提案の時期を考える目安になります。
  • 電話番号が公表されていない、所在地で会えないこともある、という壁があるため、所在地に届くDMを起点に電話・訪問・紹介を組み合わせます。
  • 期限や手間に寄せた伝え方と、送り先の記録にもとづくフォローが成果を分けます。
  • 断られた相手には連絡しない、メールは特定電子メール法を守る、といった基本も欠かせません。

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この記事は、新設法人向けDMサービス「先駆けくん」を運営する東京企画合同会社が書いています。